久留米大学医学部附属臨床検査専門学校 3年生 生理機能検査学(心臓) 卒業試験問題 (2009年12月) ※ 文末のピリオド “ .” にマウスポインタを合わせると正解にだけ『正解!』と表示される. こんな感じ ⇒ . |
出題者: 病院情報部 和田豊郁 |
【問1】標準12誘導心電図について誤っているのはどれか. a.標準の感度では1mVは10mmとして記録される. b.標準の紙送り速度は25mm/secである. c.10個の電極を用いる. d.右足の電極は波形を得るのには用いられない. e.胸部誘導は双極誘導である. |
【問2】標準12誘導心電図の誘導と誘導コードについて正しいのはどれか. a.右手と左脚が欠損している場合は第 II 誘導を得ることができない. b.単極誘導法では1つの電極だけで誘導を得ることができる. c.誘導電極の識別色は JIS で定められており左足は 緑 である. d.胸部誘導のV4 の位置は左腋窩中線上の第5肋間である. e.誘導コードのシールドが断線すると波形が通常の3分の2の大きさになる. |
【問3】心電計の誘導電極について正しいのはどれか. a.心電図ペーストを用いると皮膚・誘導電極間の接触抵抗が小さくなる. b.パンティーストッキングをはいたまま電極を着ける場合には心電図ペーストはつけない. c.接触不良防止のため誘導電極と誘導コードは接続したら外さない方がよい. d.誘導電極を磨いた後,一昼夜塩素系漂白剤に漬けることをエージングという. e.誘導電極の分極電圧が大きいほど波形が安定する. |
【問4】心電計について正しいのはどれか. a.時定数は0.32秒程度が適当である. b.時定数が小さいとQRS波が大きくなる. c.CF型の心電計はミクロショックは防げるがマクロショックへ防止対策は十分でない. d.300Hz〜3200kHzの正弦波を忠実に表現できる周波数特性を持つ. e.弁別比とは交流障害を抑止する能力である. |
【問5】正常ではない心電図所見はどれか. a.P波の高さ 0.16mV. b.PQ時間 0.16秒. c.QRS時間 0.16秒. d.QTc時間 0.40秒. e.R−R間隔 0.80秒. |
【問6】運動負荷心電図について正しいのはどれか. a.マスター2階段運動負荷試験は身長と体重と年齢によって負荷回数が決まる. b.マスター2階段運動負荷試験(シングル負荷)の階段昇降時間は180秒間である. c.マスター2階段負荷直後の心電図で異常がなければそこで検査は終了となる. d.トレッドミルを用いた運動負荷試験では負荷中に心電図や血圧を測定することができる. e.ブルース法は自転車エルゴメータを用いる標準的な運動負荷プログラムである. |
【問7】ホルター心電図とホルター心電計について正しいのはどれか. a.ホルター心電計の標準的な誘導法はフランク法である. b.ホルター心電計装着中は日常の活動をしてもらうとともに行動と症状の記録もしてもらう. c.電極は鎖骨下窩や肋間に固定する. d.NASA誘導は体位変換によるQRSパターンの変化があるがST変位を観察しやすい. e.CM5 誘導は体動による基線の変移や筋電図混入が起こりにくい. |
【問8】心電図のSTの所見について正しいのはどれか. a.異型狭心症では非発作時にSTが上昇しており発作時にはSTは正常化する. b.労作性狭心症では運動負荷試験をしても胸痛がないうちはSTの変動はみられない. c.左室肥大では左側胸部誘導でST上昇が見られる. d.急性下壁梗塞では II ・ III ・aVF誘導でST低下が見られる. e.急性心膜炎ではほぼ全誘導でST上昇がみられる. |
【問9】心電図のPQ時間が一定であるものはどれか. a.上室性期外収縮. b.第 I 度房室ブロック. c.ウェンケバッハ型房室ブロック. d.モビッツ2型房室ブロック. e.完全房室ブロック. |
【問10】心電図にノイズが混入するのを防ぐための手段として正しいのはどれか. a.動く針のないデジタル表示の腕時計ははずす必要はない. b.電源コードと誘導コードをどうしても交差させなければならないときには直交させる. c.微量輸液ポンプを使用中の場合はポンプの電源を切る. d.電気毛布は電源を切れば電源コードをコンセントから抜く必要はない. e.電動ベッドは検査中に作動させなければ電源コードをコンセントから抜く必要はない. |
【問11】心電図について正しいのはどれか. a.電気軸が90°のときaVF誘導のR波とS波の振幅は等しい. b.血清カリウム値が低値になるとT波は増高しテント状となる. c.血清カルシウム値が低値のときQTc時間は短縮する. d.T波の頂点付近で心室性期外収縮が起こると心室細動に移行しやすい. e.アダムス・ストークス症候群は頻拍性の不整脈のときには起こらない. |
【問12】心電図の肢誘導の所見で誤っているのはどれか. a.第 I 誘導ではP波は陽性であり,QRS群には通常Q波はみられない. b.第 II 誘導・第 III 誘導・aVF誘導のP波の形は似ていることが多い. c.aVR 誘導では通常P波は陰性で,深いQ波がみられ,T波も陰性である. d.aVL 誘導ではP波の振幅が小さい. e.手足の電極が逆だと(右手⇔右足,左手⇔左足),双極誘導の波形は全て同じになる. |
【問13】心筋梗塞と心電図について正しいのはどれか. a.心電図でST上昇がみられたら心筋梗塞と診断できる. b.異常Q波の出現に先行して血清CPKの上昇がみられる. c.急性心筋梗塞で生じた心電図変化は一生涯変化しない. d.異常Q波の出現した誘導の組み合わせで心筋梗塞の部位を診断する. e.急性後壁心筋梗塞は標準12誘導心電図では診断することができない. |
【問14】心音図・心機図について正しいのはどれか. a.正常心の安静時には I 音から II 音までの時間は II 音から次の I 音までよりも長い. b.左室の収縮期はまず僧帽弁が閉じその後大動脈弁が開きその間を等容収縮期という. c.左室の拡張期はまず僧帽弁が開きその後大動脈弁が閉じその間を等容弛緩期という. d.閉塞性肥大型心筋症の頚動脈波は鶏冠状を呈する. e.IV 音はP波と同じタイミングで聞かれる. |
【問15】指尖容積脈波について正しいのはどれか. a.測定器には遠赤外線が赤血球ヘモグロビンに吸収されやすい性質が利用されている. b.足趾で測定する場合には下肢を30°ほど挙上して臥位で行う. c.測定器に直射日光が当たらないようにして測定する. d.バージャー病では非発作時には正常波が,発作時に鋸歯状波が記録される. e.レイノー病では非発作時には平坦波が,発作時には痙攣波がみられる. |
【問16】血圧脈波について正しいのはどれか. a.足首は上腕より心臓から遠いので足首の血圧は通常上腕の血圧と同じか低い. b.足首上腕血圧比(ABI)は年齢とともに上昇する. c.血管が硬くなるほど脈波伝達速度(baPWV)は上昇する. d.運動習慣がないと脈波伝達速度(baPWV)は低下することが多い. e.脈波伝達速度(baPWV)は閉塞性動脈硬化症のスクリーニング検査として有用である. |
【問17】心臓超音波検査について正しいのはどれか. a.肋間走査が主であるためセクタ型のプローブを用いる. b.詳細な所見が得られる7.5MHz以上の高い周波数のプローブを用いる. c.被検者に深吸気時で呼吸を止めてもらうとよく観察できる. d.肥満や痩せなどの体型に関係なく心臓は超音波検査にて容易に観察できる. e.体表面からのカラードプラ法では肺動脈弁の逆流血流は青い色で表示される. |
【問18】心臓超音波検査ドプラ法について正しいのはどれか. a.連続波ドプラ法もパルスドプラ法もBモード断層像の動画と同時に表示できる. b.パルスドプラ法では送信と受信は別の振動子で行う. c.連続波ドプラ法よりパルスドプラ法の方が高速な血流を測定できる. d.パルスドプラ法では反射体までの距離を知ることができない. e.ドプラ法で得られた流速から簡易ベルヌーイの式を用いて圧較差を求めることができる. |
【問19】超音波検査について正しいのはどれか. a.プローブの周波数が高くなるほど解像度は上がり到達距離も長くなる. b.ゲインを上げれば像は黒く表示され見やすくなる. c.STCは一度調節したら検査中変更してはならない. d.音響レンズや電子フォーカスはプローブから送信された超音波ビームの広がりを防ぐ. e.距離分解能とは画面上左右の2つの物体を2つのものとして区別できる距離(mm)を言う. |
【問20】超音波検査時のアーチファクトについて正しいのはどれか. a.左室後壁が白く写る現象は音響陰影によるアーチファクトである. b.サイドローブによる虚像はプローブを回転させると消失する. c.プローブと臓器との間に空気が存在するとミラーイメージがみられる. d.コメットサインは胆嚢を充満するような大きな胆石でよく見られる. e.石灰化が強い物体の後方が画面上黒く抜けるのを後方陰影増強という. |
下図は誘導電極をどこに装着すればよいか,不確かな者が慌てて撮った心電図である. 幸いにも感度は標準感度,紙送りは標準速度であったが,電極は四肢と胸部に装着したと言うが,正しい場所であったかどうか分からない. 【問21】〜【問25】はこの心電図についての設問である. |
【問21】誤っているのはどれか. a.正常洞調律である. b.PQ時間は正常範囲内である. c.QRS時間は正常範囲内である. d.明かなST−T異常は見られない. e.異常Q波がみられる. |
【問22】誤っているのはどれか. a.第 I 誘導はL電極とR電極間の電位を見る誘導である. b.第 II 誘導はF電極とR電極間の電位を見る誘導である. c.第 III 誘導はF電極とL電極間の電位を見る誘導である. d.足の電極が左右逆に装着されたら第 II ・第 III 誘導は波形が入れ替わって表示される. e.第 I ・第 II 誘導で波形が出ておればR・L・F電極ともにどこかに装着されているはずだ. |
【問23】単極肢誘導ではその電極が装着されている部位の電位が記録される. この心電図についての所見と考察で誤っているのはどれか. a.このaVR 誘導のP・QRS・T波は陰性でaVR 誘導に特徴的なパターンである. b.R電極は右手に装着されていると考えて間違いない. c.aVL とaVF 誘導のP・QRS・T波は同じ部位の電位であるかのようにそっくりである. d.第 III 誘導で波形が見えないのは,2つの電極の間には心臓がないことを示唆する. e.L電極とF電極は同じ場所に装着されており四肢に電極が装着されているはずがない. |
【問24】胸部誘導についての考察で正しいのはどれか. a.電極が正しい部位に装着されているとすれば長軸まわりの電気軸は反時計回転である. b.V2 のP波は陰性であり,胸骨より右側に装着されている可能性がある. c.不整脈が見られる. d.左室肥大所見が見られる. e.左脚ブロック所見が見られる. |
【問25】四肢の電極はどのように装着されているか.正しいのを選べ. a.R⇒右手,L⇒左手,F⇒左足,RF⇒右足. b.R⇒左手,L⇒右手,F⇒左足,RF⇒右足. c.R⇒左手,L⇒右手,F⇒右足,RF⇒左足. d.R⇒右手,L⇒左足,F⇒左手,RF⇒右足. e.R⇒右手,L⇒右足,F⇒左足,RF⇒左手. |