久留米大学医学部附属臨床検査専門学校 ３年生
生理機能検査学 卒業試験問題 (2008年1月)

※ 文末のピリオド “ ．” にマウスポインタを合わせると正解にだけ『正解！』と表示される． こんな感じ ⇒ ．
出題者： 病院情報部 和田豊郁
【問１】標準１２誘導心電図について正しいのはどれか．
ａ．標準の感度では１ｍＶは１ｍｍとして記録される．
ｂ．標準の紙送り速度は５０ｍｍ／ｓｅｃである．
ｃ．左手と右足の電位差をみる誘導は Ｉ 誘導である．
ｄ．胸部誘導には双極誘導法が用いられる．
ｅ．移行帯がＶ１ とＶ２ の間にある場合は反時計回転である．
【問２】標準１２誘導心電図の誘導と誘導コードについて正しいのはどれか．
ａ．両腕が欠損している場合は心電図検査は不能である．
ｂ．単極誘導はその電極だけで波形が得られる．
ｃ．誘導コードの識別色は ＪＩＳ で定められており胸部誘導は 白 である．
ｄ．胸部誘導のＶ５ の位置は左前腋窩線上の第５肋間である．
ｅ．誘導コードのシールドが断線すると波形が出なくなる．
【問３】心電計の誘導電極について正しいのはどれか．
ａ．心電図ペーストは皮膚・誘導電極間の分極電圧を下げるために用いられる．
ｂ．胸部誘導を装着する部位には心電図ペーストをたっぷりと使用する．
ｃ．皮膚と誘導電極の接触抵抗が５ＭΩ以上あると波形が安定する．
ｄ．接触不良を防ぐため誘導電極とコードは一旦接続したら外さない方がよい．
ｅ．誘導電極を磨いたら一晩塩素系漂白剤に漬けてから使用する．
【問４】心電計について正しいのはどれか．
ａ．時定数は長ければ長いほどよい．
ｂ．被検者を保護するためのヒューズは ５ｍＡで右足の接地回路に入っている．
ｃ．心内心電図を撮るときにはCF型の心電計は用いてはならない．
ｄ．２０Ｈｚ〜２０ｋＨｚの波を忠実に表現できる周波数特性を持つ．
ｅ．弁別比は小さい方が交流障害を受けにくい．
【問５】正常な心電図所見はどれか．
ａ．第 Ｉ 誘導でＰ波の高さが ０．５０　ｍＶ．
ｂ．ＰＱ時間 ０．２８秒．
ｃ．ＱＲＳ時間 ０．１４秒．
ｄ．ＱＴｃ時間 ０．３６秒．
ｅ．ａＶＬ 誘導で陰性Ｔ波．
【問６】運動負荷心電図について正しいのはどれか．
ａ．マスター２階段試験では同じ年齢の場合女性の方が男性より回数が多い．
ｂ．マスター２階段試験（シングル負荷）の階段昇降時間は３分間である．
ｃ．トレッドミルを用いた運動負荷試験では心電図や血圧を測定しながら負荷をかける．
ｄ．ブルース法では角度は変わっても常に一定速度で歩くようになっている．
ｅ．自転車エルゴメータ法では負荷の段階が進むとペダルを早く漕ぐようになる．
【問７】ホルター心電図とホルター心電計について正しいのはどれか．
ａ．ＮＡＳＡ誘導は体動による基線の変移や筋電図混入が起こりやすい．
ｂ．ＣＭ５ 誘導は体位変換によるＱＲＳパターンの変化がない．
ｃ．電極は胸骨や肋間上に固定する．
ｄ．ホルター心電計の誘導は単極胸部誘導である．
ｅ．ホルター心電計による検査は入院が必要である．
【問８】ＳＴの所見について正しいのはどれか．
ａ．異型狭心症では非発作時にＳＴ低下がみられる．
ｂ．労作性狭心症では発作時にＳＴ上昇がみられる．
ｃ．右室肥大では左側胸部誘導でＳＴ上昇が見られる．
ｄ．急性後壁梗塞では T・aVL誘導でＳＴ上昇が見られる．
ｅ．急性前壁中隔梗塞では胸部誘導 Ｖ１ 〜Ｖ４ でＳＴ上昇がみられる．
【問９】心電図記録中の２１歳の女性の意識が突然なくなった．その時の心電図はどれか．
ａ．心房調律．
ｂ．発作性上室性頻拍．
ｃ．完全房室ブロック．
ｄ．右脚ブロック．
ｅ．促進型心室調律．
【問１０】心電図にノイズが混入するのを防ぐための手段として正しいのはどれか．
ａ．隣接した電気器具からの交流障害を防ぐためには器具をコンセントから抜く．
ｂ．電源コードと誘導コードは一緒に結わえた状態で使用する．
ｃ．微量輸液ポンプやシリンジポンプを使用中の場合はポンプの電源を切る．
ｄ．寒さによる筋電図の混入を防ぐために電気毛布を使用する．
ｅ．金属フレームの電動式リクライニングベッドを使用する．
【問１１】心電図について正しいのはどれか．
ａ．電気軸とは心臓の水平断での心起電力の最大ベクトル方向である．
ｂ．低カリウム血症ではテント状にＴ波が高くなる．
ｃ．低カルシウム血症ではＱＴ時間が短縮する．
ｄ．Ｔ波の頂点付近で心室性期外収縮が起こると心室細動に移行しやすい．
ｅ．アダムス・ストークス症候群は心内血栓が脳の動脈に詰まることで発生する．
【問１２】心筋梗塞と心電図について正しいのはどれか．
ａ．異常Ｑ波の出現する誘導の組み合わせで心筋梗塞の部位を診断する．
ｂ．最初に出現する心電図変化は異常Ｑ波である．
ｃ．ＳＴ変化は全ての誘導に同時に起こる．
ｄ．急性心筋梗塞のときに生じた心電図変化は一生涯変化しない．
ｅ．急性心筋梗塞ではＳＴ低下が見られることはない．
【問１３】心音図・心機図について正しいのはどれか．
ａ．正常心では安静時には Ｉ 音から II 音までの時間は II 音から次の Ｉ 音までよりも長い．
ｂ．拡張期に入るとまず僧帽弁が開きその後大動脈弁が閉じる．
ｃ．大動脈弁閉鎖不全症の頚動脈波は鶏冠状を呈する．
ｄ．心房細動の心尖拍動図ではａ波は見られない．
ｅ．III 音は心房が収縮するタイミングで聞かれる．
【問１４】指尖容積脈波について正しいのはどれか．
ａ．測定器には近赤外線が赤血球ヘモグロビンに吸収されやすい性質が利用されている．
ｂ．足趾で測定する場合には座位で行う．
ｃ．レイノー病では非発作時には正常波形が記録される
ｄ．バージャー病では痙攣波が見られる．
ｅ．直射日光が当たるところで測定しても差し支えない．
【問１５】血圧脈波について正しいのはどれか．
ａ．健常人では足首の血圧は心臓から遠いため上腕よりも２０mmHg程度低い．
ｂ．足首上腕血圧比（ＡＢＩ）が０.３程度では自覚症状はない．
ｃ．若年者に比べ高齢者の脈波伝達速度（ｂａＰＷＶ）は低い．
ｄ．運動療法が効果的であった場合，脈波伝達速度（ｂａＰＷＶ）は上昇する．
ｅ．脈波伝達速度（ｂａＰＷＶ）は老化の指標となる．
【問１６】心臓超音波検査について正しいのはどれか．
ａ．コンベックス型のプローブを用いる．
ｂ．周波数が高い方が詳細な所見が得られるので１０ＭＨｚ以上のプローブを用いるとよい．
ｃ．被検者に深吸気時で呼吸を止めてもらうとよく観察できる．
ｄ．肋軟骨の石灰化が著しくても心臓の観察には支障はない．
ｅ．カラードプラ法ではプローブから遠ざかる速い血流は青く表示される．
【問１７】心臓超音波検査ドプラ法について誤っているのはどれか．
ａ．連続波ドプラ法では送信と受信は別の振動子で行う．
ｂ．連続波ドプラ法では反射体までの距離を知ることができない．
ｃ．圧較差を求めることができる．
ｄ．パルスドプラ法はＢモード断層像と同時に表示することができる．
ｅ．パルスドプラ法は連続波ドプラ法よりも高速の血流が測定できる．
【問１８】心臓超音波検査時のアーチファクトについて正しいのはどれか．
ａ．サイドローブによる虚像はプローブを回転させても消失しない．
ｂ．心室中隔が乖離しているように見える現象は多重反射によるものである．
ｃ．胸壁と心膜との間に空気が存在するとコントラストの強いエコー像となる．
ｄ．左室後壁が白く写る現象をミラーイメージという．
ｅ．心室中隔欠損症のときコメットサインがみられる．
【問１９】下の心電図の所見として正しいのはどれか．
なお，心電図は標準感度，標準紙送り速度で撮られている．
　　＜＜図は省略＞＞
ａ．正常では見られない誘導での陰性T波．
ｂ．心室性期外収縮．
ｃ．左軸変位．
ｄ．ＱＴ時間の延長．
ｅ．記録中に右手が動いたことによる基線のゆれ．
【問２０】下図は心臓超音波検査中に撮られたカラードプラ像である．
次のうち正しいのはどれか．
　　＜＜図は省略＞＞
ａ．拡張期の短軸像である．
ｂ．僧帽弁に逆流が見られる．
ｃ．左心房は拡大している．
ｄ．左心房から右心房に向かう異常血流が見られる．
ｅ．左心室から右心室に向かう異常血流が見られる．