久留米大学医学部附属臨床検査専門学校 3年生
生理機能検査学 卒業試験問題 (2006年1月)


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出題者: 病院情報部 和田豊郁
【問1】心電計について誤っているのはどれか.
a.ヒス束心電図を撮るときにはCF型の心電計を用いる.
b.被検者を保護するためのヒューズは 5mAで右足の接地回路に入っている.
c.時定数は3.2秒以上必要である.
d.0.5〜200Hzの波を忠実に表現できる周波数特性を持つ.
e.弁別比は小さい方が交流障害を受けにくい
【問2】心電計の誘導電極とペーストについて正しいのはどれか.
a.皮膚・誘導電極間の分極電圧を上げるためにペーストが用いられる.
b.ペーストは電気を通さない性質がある.
c.皮膚と誘導電極の接触抵抗は5MΩ以上必要である.
d.誘導電極を磨いたら一晩食塩水に漬けてから使用する
e.誘導電極とコードは接続したままにしておく.
【問3】心電図の誘導と誘導コードについて正しいのはどれか.
a.両腕が欠損している場合左右の手の電極はそれぞれの大腿部の上部に装着する.
b.誘導コードの識別色は JIS で定められており胸部誘導は 白 である
c.胸部誘導は胸部に装着された電極だけで波形が得られるようになっている.
d.胸部誘導のV6の位置は左中腋窩線上の第5肋間である.
e.誘導コードのシールドが切れると波形が出なくなる.
【問4】標準12誘導心電図について正しいのはどれか. a.紙送り速度は25cm/secが標準である.
b.JIS標準感度では1Vは10mmとして記録される.
c.双極四肢誘導には右足と左足の電位差をみるものもある.
d.移行帯がV とV の間にある場合は時計回転である
e.胸部誘導ではゴールドバーガーの不関電極が用いられる.
【問5】正常な心電図所見はどれか.
a.第 II 誘導でP波の高さが 0.26mV.
b.PQ時間 0.28秒.
c.QRS時間 0.14秒.
d.ST部分は基線上にある
e.aV 誘導で陰性T波.
【問6】負荷心電図について正しいのはどれか.
a.マスター2階段試験では同じ年齢の場合女性の方が男性より回数が多い.
b.マスター2階段試験(シングル負荷)の階段昇降時間は3分間である.
c.トレッドミル法では運動負荷中の心電図や血圧の反応をみることができる
d.トレッドミル法では角度は変わっても常に一定速度で歩くようになっている.
e.自転車エルゴメータ法でペダルを漕ぐ速さは楽に漕げる任意の速度でよい.
【問7】ホルター心電図と心電計について誤っているのはどれか.
a.NASA誘導は体動による基線の変移や筋電図混入が少なくP波も見やすい.
b.CM 誘導はV 誘導に似るが,体位変換によりQRSパターンが大きく変わることがある.
c.ホルター心電計のメモリーカードは繰り返し使用できる.
d.ホルター心電計の誘導は双極胸部誘導である.
e.ホルター心電計装着中は安静が必要である
【問8】ST上昇について正しいのはどれか.
a.労作性狭心症では発作時にST上昇がみられる.
b.異型狭心症では発作時にST上昇がみられる
c.左室肥大では左側胸部誘導でST上昇が見られる.
d.急性下壁梗塞では II ・aV 誘導でST上昇が見られる.
e.急性後壁梗塞では胸部誘導 V 〜V でST上昇がみられる.
【問9】心電図記録中の42歳の女性が突然意識消失した.その時の心電図はどれか.
a.心拍数約80の心房細動.
b.4:1伝導の心房粗動.
c.心拍数172の発作性上室性頻拍.
d.5.2秒の洞停止
e.ウェンケバッハ型2度房室ブロック.
【問10】心電図にノイズが混入するのを防ぐための手段として正しいのはどれか.
a.隣接した電気器具からの交流障害を防ぐためには器具をコンセントから抜く
b.電源コードと誘導コードは束ねた状態で使用する.
c.微量輸液ポンプを使用中の場合はポンプの電源を切る.
d.気温が低いときには電気毛布を使用して寒さによる筋電図の混入を防ぐ.
e.ベッドのマットは硬く幅の狭いものを用い,枕は使わない.
【問11】心電図について正しいのはどれか.
a.電気軸は心臓の矢状断での心起電力の最大ベクトル方向である.
b.低カリウム血症ではテント状にT波が高くなる.
c.低カルシウム血症ではQT時間が短縮する.
d.T波の頂点付近で心室性期外収縮が起こると心室細動に移行しやすい
e.アダムス・ストークス症候群は頻拍性不整脈では起こらない.
【問12】心筋梗塞と心電図について正しいのはどれか.
a.STが上昇している誘導の組み合わせにて心筋梗塞の部位を診断する
b.最初に出現する心電図変化は異常Q波である.
c.ST変化は全ての誘導に同時に起こる.
d.急性心筋梗塞のときに生じた心電図変化は一生涯変化しない.
e.梗塞の範囲が狭い場合には心停止の危険性はない.
【問13】心音図・心機図について正しいのはどれか.
a.正常心では安静時には I 音から II 音までの時間は II 音から次の I 音までよりも長い.
b.正常心では大動脈弁は肺動脈弁より先に開放する.
c.僧帽弁狭窄症の頚動脈波は鶏冠状を呈する.
d.三尖弁閉鎖不全症の心尖拍動図ではa波が増高する.
e.IV音は心房の収縮により生じる
【問14】指尖容積脈波について正しいのはどれか.
a.測定器には遠赤外線が赤血球ヘモグロビンに吸収されやすい性質が利用されている.
b.測定部位が心臓と同じ高さになるように測定器を設置する
c.レイノー病では非発作時には正常波形が記録される.
d.レイノー病の発作時には痙攣波が見られる.
e.バージャー病では指尖容積脈波は正常である.
【問15】血圧脈波について正しいのはどれか.
a.健常人では足首の血圧は心臓から遠いため上腕よりも20mmHg程度低い.
b.ABIが0.4の場合自覚症状を訴える人は少ない.
c.若年者に比べ高齢者の脈波伝達速度(baPWV)は低い.
d.有酸素運動を継続することによって脈波伝達速度(baPWV)は上昇する.
e.脈波伝達速度(baPWV)は老化の指標となる
【問16】心臓超音波検査について正しいのはどれか.
a.コンベックス型のプローブを用いる.
b.周波数10MHzのプローブを用いると心臓の詳細な観察ができる.
c.被検者に深吸気時に呼吸を止めてもらうと観察しやすい.
d.連続波ドプラ法では血流とビームの向きをほぼ一致させる必要がある
e.カラードプラ法ではプローブに向かう速い血流は青で表示される.
【問17】心臓超音波検査ドプラ法について誤っているのはどれか.
a.連続波ドプラ法では送信と受信は別の振動子で行う.
b.連続波ドプラ法では反射体までの距離を知ることができない.
c.圧較差は簡易ベルヌーイの式 4×(連続波ドプラ法で測った流速)で求めることができる
d.パルスドプラ法はBモード断層像と同時に表示することができる.
e.パルスドプラ法は高速な血流の検出に向く.
【問18】心臓超音波のアーチファクトについて誤っているのはどれか.
a.サイドローブによる虚像はプローブを90°回転させると消失する.
b.肋軟骨が石灰化すると音響陰影が発生しやすく心臓の観察が不十分となりやすい.
c.胸壁と心膜との間で多重反射が起こると像が不明瞭となる.
d.左室後壁が白く写るのは超音波の減衰が少ない心腔のための後方陰影増強による.
e.肥満者では皮下脂肪のため後方陰影増強が起こり心臓の観察は容易である
【問19】下図左端の心電図の3つの誘導は上からaV ,aV ,aV である.
この心電図の標準肢誘導 I ・ II ・ III 誘導は a 〜 e のうちどれか.
aVR,aVL,aVF a. b. c. d.
【問20】下図は心臓超音波検査中に撮られたカラードプラ像である.台形状の範囲内には青色の所見が見られている.次のうち誤っているのはどれか.
a.汎収縮期雑音が聞かれる.
b.心雑音は吸気にて増強する.
c.頚静脈波でa波が増高する.
d.下大静脈が拡大していることが予想される.
e.胸骨左縁第4肋間からのアプローチによる像である