久留米大学医学部附属臨床検査専門学校 2年生
生理学機能検査学講義 試験問題 (2005/9/20)
出題者: 病院情報部 和田豊郁
【1】下の図の ○ は標準12誘導心電図で電極を装着する位置を示している.日本で使用されている心電計の誘導電極に付いている識別のためのアルファベットや数字と色を例にならって記入せよ.
【2】標準12誘導心電図の誘導法(電極の装着部位)について説明しなさい.
(ヒント:次の語句などを含めると良いだろう.   双極,単極,肢誘導,胸部誘導,
aV,V,胸骨,右縁,第5肋間,前腋窩線,鎖骨中線)

 標準12誘導心電図では4つの四肢電極と6つの胸部誘導電極を用いて12の誘導,すなわち,T誘導,U誘導,V誘導,aV誘導,aV誘導,aV誘導,V誘導,V誘導,V誘導,V誘導,V誘導,V誘導を記録するものである.

四肢の電極は両手首と両足首に装着する.右手首にはR電極(識別色:赤),左手首にはL電極(識別色:黄),左足首にはF電極(識別色:緑),右足首にはRF電極(識別色:黒)を装着する.記録する肢誘導は,3つの双極肢誘導法と3つの増大単極肢誘導法である.3つの双極肢誘導法とは,右手から左手に向かう電位を記録するT誘導,右手から左足に向かう電位を記録するU誘導,左手から左足に向かう電位を記録するV誘導である.

 3つの増大単極肢誘導法とは,ゴールドバーガー法によるaV,aV,aV誘導である.これらは,R・L・Fの3つの電極に各々5kΩの抵抗を介して1点に接続したウィルソンの中心電極から,関電極の接続をはずしたものを不関電極としてR・L・Fの関電極の電位を記録するもので,中心電極を不関電極とした誘導V,V,V誘導の1.5倍の電位が得られ,広く用いられているものである.

 胸部誘導はウィルソンの中心電極を不関電極とし,6つの胸部誘導電極を関電極とした単極胸部誘導である.胸部誘導は心電計が1素子であったころは1つの電極であったために識別子はC,識別色は白となっていた.現在では心電計が多素子化したこと,標準12誘導では6つの胸部誘導を撮ることから,C・C・C・C・C・Cの6つの識別子が与えられ,それぞれ白+赤,白+黄,白+緑,白+茶,白+黒,白+紫の識別色が付けられている.

 C電極は第4肋間胸骨右縁に装着し,V誘導を得る.C電極は第4肋間胸骨左縁に装着し,V誘導を得る.C電極はC電極とC電極との中点に装着し,V誘導を得る.C電極は第5肋間の左鎖骨中線に装着し,V誘導を得る.C電極はC電極と同じ高さの左前腋窩線に装着し,V誘導を得る.C電極はC電極と同じ高さの左中腋窩線に装着し,V誘導を得る.

 なお,右足首に装着したRF電極は誘導には関与せず,ヒューズを介してアースに接続されている.