心電図の電気軸を理解しよう!

2006/1/12 13:00 作成
久留米大学病院 病院情報部 和田豊郁

Einthovenが電気軸を定義したのだから,Einthovenの三角形を理解しないと始まらない.
  電気軸の0°とは右手⇒左手の方向.
  頭から足の方向がプラス,と定義
    ☆ これは,心尖部が頭から見て左下前の方向を向いていることと関係.


T誘導
右手 ⇒ 左手
0°
U誘導
右手 ⇒ 左足
60°
V誘導
左手 ⇒ 左足
120°
aVR誘導
心臓 ⇒ 右手
210°(−150°)
aVL誘導
心臓 ⇒ 左手
−30°
aVF誘導
心臓 ⇒ 左足
90°

四肢誘導のうち,

  R波の振幅−(S波またはQのうち大きい方の振幅)

が一番大きいところが電気軸に一番近い誘導になる.

※注意※
aVR・aVL・aVFのようにVの前に a が付いているものは振幅が1.5倍になっている,という印.
T・U・Vと振幅を比べるときはその分を考慮する!

一番大きくなくても,

  R波の振幅−(S波またはQのうち大きい方の振幅)

がプラスだったら,その軸と同じ向き,マイナスだったら反対向きに電気軸がある,ということ.


T誘導でプラス U誘導でプラス V誘導でプラス aVR誘導でプラス aVL誘導でプラス aVF誘導でプラス

T誘導でマイナス U誘導でマイナス V誘導でマイナス aVR誘導でマイナス aVL誘導でマイナス aVF誘導でマイナス

だから,複数を組み合わせると軸がどの範囲にあるのかが絞り込まれる.

たとえば,次のような例を考えてみる. ※ aVRなどをT〜Vと比べるときには1.5倍になっていることを思い出す!


T誘導 U誘導 V誘導 aVR誘導 aVL誘導 aVF誘導
13−0= +13 9−0= +9 1−3= −2 0−12= −12 8−1= +7 3−0= +3
※ T・U・Vと比べるとき,1.5倍になっていることに注意する!


T>U>−V   ← 絶対値で比べる −aVR>aVL>aVF   ← 絶対値で比べる




※ 一番大きい −Vの方向よりU寄りに軸がある RLFでは一番大きい Fの方向よりL寄りに軸がある




T・U・Vを合成すると... aVR・aVL・aVFを合成すると...
−30°〜+30°の間に軸があることがわかる 0°〜+60°の間に軸があることが分かる

0°〜30°の間に軸があることがわかる. aVR(÷1.5)よりT誘導の方が大きいので,軸は0°〜15°の間!

このように,大きいか小さいか,だけで電気軸はここまで絞り込めてしまう.